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廃業する場合の手続の流れや注意すべき点とは? 倒産との違いも

2020年09月04日
  • 一般企業法務
  • 廃業手続き
廃業する場合の手続の流れや注意すべき点とは? 倒産との違いも

日本には数多くの企業があり、中には何百年も続く老舗企業もあります。一方で、さまざまな理由から事業を継続することが困難となり、廃業する企業も多くあります。企業の休廃業・解散件数は増加傾向にあり、2016年の休廃業・解散件数は2万9583件で過去最高となりました。

昨今では、新型コロナウイルス感染症の流行により、外出自粛要請がなされたことや海外からの観光客が激減したことから客足が減少し、企業とくに中小企業の中には、資金繰りの見通しが立たず、苦しい対応を迫られているところも少なくありません。愛知県岡崎市では、愛知県の休業・短縮営業協力要請に応じた事業者に、協力金を支給することで企業・事業主に対しての支援を行っています。

このような厳しい状況の中で、今後は破産だけでなく自主廃業に踏み切る企業も出てくると考えられます。廃業というかたちでの会社のたたみ方を考える場合には、どのようなことに注意し、どのような手続をとればよいのでしょうか。

1、廃業とは? 倒産との違い

廃業とは、特段の手続をとらず、資産が負債を上回る状態(資産超過状態)で事業を停止することです。倒産とは、企業が債務の支払い不能に陥るなど、経済活動を続けることが困難な状態になることをいいます。廃業と倒産には、次のような違いがあります。

  1. (1)経済活動を停止する状況

    廃業は、企業の経済状況だけでなく、後継者の不存在や、経営者が病気などで執務することができなくなった場合にも、選択することができます。つまり、廃業は理由のいかんを問わず、自主的に経済活動を停止することといえます。

    他方、倒産の場合、負債が膨らみ事業を続けたくても続けられない状況のため、いわば強制的に経済活動を停止してしまう状態といえます

  2. (2)とるべき手続

    廃業については、「2、廃業手続の流れ」において詳しく述べるとおり、税務署や法務局などに届け出を行い、解散・清算を行います。

    倒産の場合、倒産の種類にもよりますが、裁判所に対して申し立てをしなければならないものがあります。また、弁護士に依頼するなどして債権者と協議して債務整理をする方法もあります。

  3. (3)関係者への影響

    倒産の場合、債権者や保証人、従業員などに多大な迷惑をかけて会社をたたむことになります。廃業の場合も迷惑をかけることがないとは言い切れませんが、きちんと見通しを立て、十分な期間を設けることで、最小限度の影響で済ませられることもあります。

    以上のように、倒産の場合は手続的な面での負担も大きく、なにより周囲の方に対して迷惑をかけることとなってしまいます。引き際を見極めて決断することが、経営者にとって必要な勇気であるかもしれません。  

2、廃業手続の流れ

廃業を検討する前提として、まず会社の資産と負債の状況を確認しましょう。資産のほうが多い、または負債があっても返済のめどが立つ場合には、廃業をすることができます。

しかし、負債の返済のめどが立たない場合には、廃業は選択できず倒産を選択するしかありません。仮に、経営状態が厳しい中で廃業を検討する場合、タイミングを逃すと廃業できずに倒産しかできなくなってしまうこともあるため、注意が必要です。

ここでは、廃業すると決めた場合の手続きを、法人と個人に分けて解説していきます。

  1. (1)法人の廃業手続

    会社の廃業にあたっては、大きく「解散」と「清算」という2つのステップが踏む必要があります。大まかな手順は以下のとおりです。

    ●営業終了日を決め、営業を終了させる
    廃業するにあたっては、従業員や取引先に廃業する旨を通知しておく必要があります。

    ●株主総会で解散決議をし、清算人を選任する
    清算人の選任に関する決議については普通決議が、会社の解散の決議については特別決議が必要となります。

    ●解散登記および清算人選任の登記をする
    解散日から2週間以内に管轄の法務局で登記する必要があります。

    ●債権者に対する官報公告をする
    会社に債務が残っている場合、債権者保護のために解散の公告が必要となります。その公告期間は2か月以上である必要があります。

    ●解散日までの決算承認を受け、解散確定申告をする
    財産目録および貸借対照表について、株主総会の普通決議による承認を受ける必要があります。

    ●資産と負債を整理する(債権回収、債務弁済など)
    資産と負債をうまく整理するため、関係者に対して誠実に対応しましょう。

    ●残余財産の確定し、分配する
    財産が残った場合には株主に分配します。

    ●清算までの決算承認を受け、清算確定申告をする
    確定申告は解散と清算、両方で必要です。

    ●清算決了の登記
    管轄の法務局へ申請します。

    ●清算決了届を出す
    事務所がある住所を管轄している自治体、および税務署に届け出をします。

  2. (2)個人の廃業手続

    個人事業主の場合、関係各所への資産・負債を清算したのち、廃業届などのいくつかの書類を役所へ提出することで、手続が完了します。会社の廃業と比較すると簡単です。

    ただし、社員を雇っていた場合には、社会保険事務所への届け出が必要です。また、許認可が必要な業種については、所轄行政機関にも廃業届を提出する必要があります。

    大まかな流れは以下の通りです。

    ●営業終了日を決める
    法人と同様、まずは営業終了日をいつにするか決めます。

    ●資産と負債を整理する(資産の現金化と負債の返済)
    固定資産の売却や売掛金の回収などを行って資産を現金化し、負債がある場合には返済します。ただし、個人事業主の場合、事業用資産と個人資産に区別がありませんので、会社の場合のように、資産と負債をゼロにしないと廃業できない、ということはありません。

    ●税務署へ以下の届け出をする
    所轄税務署に対して、以下を提出する必要があります。

    • 個人事業の開業・廃業等届出書
    • 消費税の事業廃止届け出書(消費税の課税事業者のみ)
    • 給与支払事務所棟の開設・移転・廃業届出書(従業員を雇用していた方のみ)
    • 所得税の青色申告の取りやめ届出書(青色申告者のみ)
    • 所得税の予定納税額の減額申請書(予定納税額の通知を受けている人で、予定納税基準額に満たないと見込まれる方)

    ●都道府県税事務所と自治体へ廃業届を出す
    税務署とは別に、廃業届を提出して終了です。

3、廃業手続を進める際の注意点

以上では、廃業手続の流れについて解説しましたが、この章では廃業するにあたって注意をするべき点についてご紹介します。

●法人の廃業手続について
廃業するということは、従業員を解雇するということになります。従業員への解雇通知は、解雇する日の1か月以上前までに行いましょう。これに間に合わない場合、企業は、その従業員に対して1か月分の解雇予告手当を支払わなければなりません。

また、廃業手続の「清算」の段階において、清算の遂行に著しい支障を生ずべき事情または債務超過の疑いがある場合には、利害関係人の申し立てにより「特別清算」という方法に移行する可能性があります。特別清算は債権者の同意が必要のため、否決された場合には、破産手続に進むことになります。

●個人の廃業手続について
廃業した事業年度も、例年どおり確定申告を行いましょう。内容も通常の確定申告と変わりありません。

4、事業承継やM&Aなども選択肢のひとつ

日本の人口は平成20年をピークに減少し始めていることや、昨今の新型コロナウイルス感染症の流行で、国内の消費マーケットは小さくなり、多くの中小企業・個人事業主にとって先行き不透明な状況が今後も続くとみられます。将来を見据え事業を継続するか否かなど、どのような選択肢が最良なのかを早い段階で考え、準備しておく必要があるでしょう。事業承継やM&Aなど廃業以外の手段も検討に入れ、ご自身や会社にとって最良の結論を選びましょう。この章では、事業承継とM&Aについて解説していきます。

  1. (1)事業承継とは

    会社の業績は好調であるが、経営者自身が高齢などの事情により事業を継続することが困難な場合には、事業承継という選択肢もあります。事業承継は、単に社長の座である「経営権」を譲るだけではなく、自社株や事業用財産を所有する権利である「財産権」も後継者に引き継ぐことをいいます。特に、財産権の承継にあたっては、税金や相続も大きくかかわってくるので、税理士や弁護士に相談しながら計画的に進める必要があります。

  2. (2)M&Aとは

    事業承継の中には、経営者の子どもなどの親族や従業員・役員への承継だけでなく、別企業へ承継するという手段もあります。それがM&Aという方法です。
    M&Aとは、企業の合併買収のことです。すなわち、会社そのもの、あるいは事業の一部を売り買いすることを指します。買収される企業の経営者がM&Aに賛成しているかどうかによって、友好的M&Aと敵対的M&Aに分かれます。M&Aというと、敵対的M&Aのように一方的に会社を乗っ取られるというという、悪いイメージを持っている方もいるかもしれませんが、中小企業間のM&Aの多くは友好的M&Aです。

    M&Aのメリットとしては、後継者不存在の問題を解決できることや、自社株の売却利益が得られること、社員の雇用が守られることなどがあります。他方で、買い取ってくれる相手が見つからず、結果的に時間を浪費してしまう可能性がある、情報漏えいのリスクがあるなどのデメリットもあります。

    M&Aの具体的な進め方について詳しく相談したいという場合、税理士や弁護士などに相談することをおすすめします。

5、まとめ

自ら立ち上げた会社・事業ならなおさら、先代などから受け継いだ会社・事業であっても「自分の代で終わらせたくない」と思われる経営者の方も多いでしょう。しかし、現実問題として、企業が永遠に発展し続けるということは難しく、どこかのタイミングで「終わり方」を考えなければならない時が来てしまいます。

会社・事業が終わってしまうこと自体に「失敗」というイメージをお持ちの方がいるかもしれませんが、きちんと戦略を立てて、周囲への影響を最小限度にとどめて終わらせることができるのであれば、それは立派な「成功」だといえるでしょう。手遅れになる前に、専門家と相談しながら、事業の将来としっかり向き合いましょう。

廃業・事業承継などをお考えの場合は、ひとりで悩まず、ぜひベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスにご相談ください。依頼者と会社にとって何が最善か、親身になってお話を伺い、最適なアドバイスをいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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