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共同親権制度になれば養育費はゼロ? 離婚時に考えるべき子どものこと

2021年09月22日
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共同親権制度になれば養育費はゼロ? 離婚時に考えるべき子どものこと

欧米では、離婚後も子どもの親権を両親が持つ、「共同親権」が取り入れられている国が少なくありません。日本では共同親権制度は導入されておらず、いずれかの親が親権を持つ単独親権が用いられています。

では、諸外国の共同親権制度とはどのような仕組みになっているのでしょうか。また、日本で共同親権と同様の関係を築くことはできないのでしょうか。

今回は、ベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスの弁護士が共同親権制度の概要と、養育費について解説します。

1、共同親権とは

まずは諸外国の共同親権制度や、親権の概要を確認しておきましょう。

  1. (1)日本と諸外国の親権の違い

    そもそも、日本では結婚中は「共同親権」となっており、両親ともに親権を持っています。しかし、離婚後は、子どもの混乱を避けるため、「単独親権」となり、原則として親権を持っている親が子どもを育てることになります。

    一方で、欧米では離婚後も共同親権を採用している国が多く、両親が主体的に子どもに関われるようになっています。イタリア、オーストラリア、ドイツ、フランス、フィリピン等では裁判所の判断がない限り共同親権となっています。

  2. (2)親権の概要と共同親権

    親権は以下の権利で構成されています。

    1. ① 財産管理権
      子の財産を管理し、法律行為に対して代理及び同意する権利義務をいう。
    2. ② 身上監護権
      子の健全な成長を図るために必要な監護及び教育をする権利をいい、以下の権利義務を含む。
    • 居所指定権
    • 懲戒権
    • 職業許可権
    • 身分行為の代理権


    結婚中は、共同親権であるため上記の権利を父母共に有しています。しかし、離婚後は、親権を有する親が全ての権利を持つことになり、親権を持っていない親はこれらの権利を失います

    もちろん、子どもの将来や生活について話し合うことはできますが、父母の仲が険悪であればそれが難しいのが現実です。

2、共同親権で、面会交流はどうなる?

共同親権になった場合、子どもの面会交流は現状よりもスムーズに行えると考えられます。共同親権をもつ国では、面会交流は、離れて暮らす親の当然の権利として実施され、子どもは両親の愛情を感じながら暮らしていることが多く、親にとっても子どもにとっても望ましい状態です。

「共同親権になったとしても、面会交流が拒否されるのでは」と思われがちですが、共同親権を導入しているアメリカのニューヨーク州では、面会交流に著しく違反した場合は、刑事事件化できるという法律があります。また、面会交流を妨害した場合は、裁判所が養育費の支払い停止を認めることも可能です。また各国に、面会交流を支援する制度が存在します。

したがって、日本で共同親権が導入された場合も、面会交流が促進されるような仕組みや法律が制定されると考えられます。

3、養育費の支払いはなくなる?

共同親権になった場合でも、子どもを育てていない親は養育費を支払わなければなりません。共同親権が導入されている諸外国の例をみると、共同親権化することで、養育費の支払いについても、現状よりは養育費の未払いを取り締まるルールが厳しくなる可能性があります。

たとえば、ワシントンDCでは、養育費を支払わない親については、親の所在の特定や、支払い命令の取得などの支援制度が整えられています。

そもそも、養育費の支払いは「親権者かどうか」は関係なく、親の負うべき扶養義務に基づいています親権の有無に関わらず、子どもが経済的に独立するまでは支払わなければなりません

現在の日本では、子どもを育てている親権者(監護権者)に、子どもと離れて暮らす親が養育費を支払わなければならないとされています。一見すると、子どもと離れて暮らす親のみが養育費を支払っているように見えますが、養育費だけで子どもがいることで増える出費はまかなえません。子どもを育てている親も、子どもの養育費を負担しているのです。

したがって、共同親権になったからといっていずれかの親の金銭的な負担が著しく軽減することはないと考えられます

4、共同親権に近い形で子どもに関わる方法

現在の日本には、離婚後の共同親権は認められていません。ただし、親権と監護権を分離させることで、双方の親が子どもに関わることは可能です。

離婚後の親権者を決める際は、原則として親権者が監護権を有して、子どもを手元で育てることになります。しかし、事情によっては親権者と監護権者を分けることができます

親権者を父親、監護権者を母親にすれば、子どもは母親が育てますが、監護権以外の権利は父親が有するという具合です。

父母共に親権者と監護権者を分けることに同意していれば、裁判手続きを経ずに親権者と監護権者を分けることができます。

ただし、いずれかが合意しなければ、家庭裁判所での調停や裁判で判断されることになります。調停や裁判で親権と監護権を分離すると判断されるケースは非常にまれですが、たとえば、「親権者である母親が治安の悪い海外に転勤を命じられた」「親権者である父親が病気で長期入院を余儀なくされて子どもを育てられない」というような場合であれば、認められる可能性はあるでしょう。

どちらが親権を持つかで揉めている場合、現状の日本の制度であれば、監護権と親権の分離が有効な解決方法になり得ます。もっとも、親権と監護権の分離にはメリットとデメリットがありますので、検討される際には弁護士にご相談ください

5、養育費や面会交流が決まらないときは弁護士へ

離婚の際は、養育費や面会交流について、双方が合意できずに揉めてしまうケースが少なくありません。養育費や面会交流の決め方や、揉めた場合の解決方法を解説します。

  1. (1)養育費の決め方

    原則として、養育費は両親の話し合いで決められます。双方が合意すればどんな金額であっても問題はありません。話し合いで決まらない場合は、裁判所が作成している養育費算定表を利用することがおすすめです。

    当事務所でも養育費算定表に基づき、かんたんに養育費の算定ができるツールをご用意しておりますので、ご利用ください。

    ただし、養育費算定表は公立校進学が前提となっている、会社員の給与が2000万円までのケースしか想定されていない、などの事情があることから、あくまで目安として利用するにとどまり、個別の事情に合わせて正しく計算する必要があります

  2. (2)面会交流の決め方

    面会交流に、決められた頻度はありません。双方の距離や仕事の状態、子どもの様子などを考慮して判断します。子どもと離れて暮らす親にとっては、欠かせない権利ですし、子どもにとっても親と過ごせる大切な時間ですので、離婚時には必ず取り決めておきましょう。

    親権者(監護権者)が、離婚後に元配偶者との過度な接触を嫌がる場合は、最低限の連絡で面会交流が可能となるようなルールを決めておくと話がまとまりやすくなるでしょう。

  3. (3)養育費や面会交流で揉めた場合の解決法

    養育費や面会交流で揉めて離婚の話し合いが前に進まなくなった場合は、調停の申し立てや弁護士への依頼をご検討ください。

    ● 調停での話し合い
    調停とは、家庭裁判所で調停委員を介して行われる話し合いです。裁判ではありませんので、裁判官が最終判断を言い渡すことはありません。最終的に双方が合意できれば、その内容で調停調書が作成されます。

    日本では離婚に関しては、調停前置主義といって、裁判を起こす前に調停を行う必要があります。折り合いがつかず、話し合いではなく裁判を起こしたいという場合も、まずは調停が必要です。

    ただ、”自分ひとりで調停を起こすことは難しい”、”自分ひとりで行った調停が不調に終わり、裁判に移行する”などの場合は、弁護士への依頼をおすすめします

    ● 弁護士への依頼
    養育費や面会交流の折り合いがつかない場合は、調停を申し立てる前に弁護士に依頼することも有効な解決手段です。調停は、解決までに6か月から1年ほどの期間を要します。1年を超えてもなお解決しない調停もありますので、早期解決という訳にはいきません。

    しかしながら、弁護士による交渉であれば早ければ1か月から半年ほどで解決できることもあります。弁護士が法的根拠に基づき交渉を行うことで、相手方の合意が得られやすくなる可能性が高まるのです。

    弁護士に依頼すると、養育費や面会交流の約束が守られるように手続きを進めますので、離婚後のトラブルも起きにくくなります。

    また、養育費の支払いは状況に応じて臨機応変にしたいといった個別の要望についても、弁護士が交渉できます。子どもの養育費や面会交流について、こだわって取り決めておきたい方はぜひ弁護士にご相談ください。

6、まとめ

共同親権は、日本ではまだ導入されていませんが、海外では多くの国で共同親権が導入されており、離婚後も両親が子どもに対して主体的に関われるようになっています。とはいえ、共同親権が導入されていても、子どもは一方の親としか暮らせませんし、子どもと離れて暮らす親は養育費を支払わなければなりません。

共同親権制度の有無にかかわらず、養育費は支払う必要がありますし、子どもとの面会交流は可能なので、それらの諸条件で揉めている方はベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスの弁護士にご相談ください。親身になってお話を伺い、個別の事情に即した解決方法をご提案します。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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