防犯カメラで犯人特定されるのか|盗撮などの逮捕例や罰則など

2025年02月10日
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防犯カメラで犯人特定されるのか|盗撮などの逮捕例や罰則など

愛知県警が公表しているデータによると、令和5年中の犯罪の検挙件数は1万5582件で、逮捕の検挙率は3割にのぼりました。

なかでも、性的な姿を盗撮した際の「撮影罪(性的姿態等撮影罪)」、悪質な痴漢行為が該当しうる「不同意(強制)わいせつ罪」などが含まれる「風俗犯」の検挙率は、73.6%と高くなっています。

こうした盗撮や痴漢などの犯罪行為が、防犯カメラの映像によって犯人が特定されることはあるのでしょうか。このコラムでは、防犯カメラで犯人が特定されやすい罪、逮捕事例、罰則などについて、ベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスの弁護士が解説します。


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1、防犯カメラで犯人は特定される?

結論として、多くの刑事事件において、防犯カメラの映像が決め手となって犯人が検挙されています

ここでは、防犯カメラによって特定・検挙される犯罪や防犯カメラにより得られる情報や役割などを解説します。

  1. (1)防犯カメラで特定・検挙される犯罪

    防犯カメラは、被害の未然防止や犯罪発生時の的確な対応に有効であるため、多くの地方公共団体において、犯罪の発生状況等に応じて街頭防犯カメラの設置が推進されています。

    自治体によっては、自治会、商店街、通学路や区市町村立公園に防犯カメラを設置するコストの補助をしている所も少なくありません。

    防犯カメラやドライブレコーダーの映像・画像などにより犯人が特定される事件としては、以下のような犯罪があります。

    • 撮影罪(性的姿態等撮影罪)
    • 痴漢(不同意わいせつ罪、迷惑防止条例)
    • 窃盗罪
    • 性犯罪
    • 道路交通法違反
    • 詐欺罪
    • 傷害罪
    • 暴行罪
    • 強盗罪
    • 器物損壊罪
    • 恐喝罪
    など


    実際に防犯カメラにより犯人が検挙された事件として、以下が挙げられます。

    千葉県における女性殺人事件、渋谷駅構内における殺人未遂事件、六本木の飲食店内における傷害致死事件、板橋区における女性強盗殺人事件等の重要事件が防犯カメラ画像の活用によって被疑者の検挙に至っています。

  2. (2)防犯カメラから得られる情報と役割

    近年、防犯カメラの普及に伴い、犯罪捜査において、防犯カメラの画像が、犯行状況や犯人像の確認、事件関係者の足取りの確認、画像を公開しての追跡捜査などさまざまな場面で活用されています。

    たとえば、東京都の街頭防犯カメラシステムについては、東京都公安委員会規程および街頭防犯カメラシステム運用要綱に基づき、厳格に運用されています。

    街頭防犯カメラシステムでは、令和5年に警視庁本部において録画した1022件の映像データを警察署長等に提供し、うち540件が被疑者の検挙活動、事件の解決等に活用されています。

    さらに近年、防犯カメラの解析技術も向上しており、撮影された人物の顔を鮮明にすることも可能になっています。

    たとえば「三次元顔面識別システム」の開発が進み、防犯カメラに映った顔がうつむいていたり、マスクをしていたりしても、精緻な分析により個人識別の精度が増しています

    また「歩容解析」により、顔がまったく映っていなくても、歩き方のリズムや歩幅、腕の振り方などで犯人が特定される確率も上がっています

  3. (3)駅の防犯カメラの設置状況

    岡崎市では、市内における犯罪を未然に防止するため、令和2年度から市による街頭防犯カメラの設置事業を開始しており、街頭防犯カメラ設置台数については、令和2年度には450台、令和3年には350台、令和4年度には250台にのぼります。

    近年、駅などの公共施設などには街頭防犯カメラが多く設置されているため、いずれかの防犯カメラに犯行状況が撮影されている可能性があります。

2、痴漢や盗撮など防犯カメラで犯人特定による逮捕例・罰則

防犯カメラで犯人が特定され逮捕される事例にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、防犯カメラによる逮捕例や罰則などについて紹介します。

  1. (1)痴漢|迷惑防止条例、不同意(強制)わいせつ罪

    駅のホームで痴漢行為を行い逃亡した場合、その場では逮捕されずに逃げおおせたとしても、防犯カメラの映像や交通系ICカードの入出記録などにより身元が特定されて逮捕されるケースがあります

    痴漢をした場合には、各都道府県の迷惑防止条例違反(東京都では6か月以下の懲役・または50万円以下の罰金)や不同意わいせつ罪(6か月以上10年以下の懲役)に問われる可能性があります。

  2. (2)盗撮|撮影罪(2023年7月12日以前の事件は、迷惑防止条例違反や軽犯罪法違反)など

    駅や公共施設などで女性のスカートの中をスマホで盗撮して逃走したとしても、被害を通報され、防犯カメラ映像を解析した結果、犯人が特定されるケースもあります。

    盗撮事件は、令和5年(2023年)7月13日以降は、撮影罪(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)に問われます。

    令和5年7月12日以前の事件は迷惑防止条例違反(東京都では1年以下の懲役または100万円以下の罰金)、場合によっては、軽犯罪法違反(1日以上30日未満の拘留、もしくは1000円以上1万円未満の科料)に問われる可能性があります。

  3. (3)万引き|窃盗罪

    スーパーの万引きにおいて、店内に設置された複数の防犯カメラに犯行の様子が映っていたことから警察に逮捕されるというケースがあります。

    万引き事件は窃盗罪(10年以下の懲役、または50万円以下の罰金)に問われることになります。

  4. (4)住居侵入|住居侵入罪・建造物侵入罪

    盗撮目的で公共施設や店舗のトイレや、侵入盗目的でマンションの共用部分に立ち入った場合、監視カメラの映像が決め手となって不法侵入で逮捕されるケースがあります。

    最近は、マンションなどの集合住宅のみならず、戸建ての住宅であっても防犯カメラを設置している個人も少なくあません。

    正当な理由がないのに、人の住居・人の看守する邸宅、建造物等に侵入した場合には、建造物等侵入罪(3年以下の懲役、または10万円以下の罰金)に問われる可能性があります。

  5. (5)器物損壊|器物損壊罪

    他人の所有物や公共施設や公共物を破壊する事件についても、防犯カメラの映像によって犯人の検挙につながるケースがあります。

    他人の物を意図的に破壊・隠匿して物の効用を侵害した場合には、器物損壊罪(3年以下の懲役、または30万円以下の罰金もしくは科料)に問われる可能性があります。

3、防犯カメラによる犯人特定が不安な場合は弁護士へ相談すべき?

何らかの罪を犯してしまい、防犯カメラにより犯人として特定されるおそれがある場合には、ただちに弁護士にご相談ください。

事件の被害者や目撃者がいる場合には、警察が捜査を開始している場合が少なくありません。特定された場合には、ある日突然逮捕されてしまうおそれがあります。弁護士に相談し、自首や示談交渉など、適切な行動をとる必要があります

また、警察から呼び出しの連絡が入っている場合にも、すぐに弁護士にご相談ください。

任意の事情聴取の結果、犯人として特定された場合には、警察に逮捕される可能性があります。刑事事件はスピードが速いため、迅速な弁護活動が重要です

早期に弁護士に相談することで、逮捕回避や早期釈放に向けた弁護活動が可能です。

4、刑事事件で弁護士に相談するメリット

刑事事件を弁護士に相談することで、逮捕・勾留を回避できる可能性が高まります

弁護士が同行し自首することで、逮捕や勾留回避の可能性が高まるほか、被害者との示談交渉も弁護士に任せることができます。被害者との示談が成立した場合には、被害者が被害届や告訴を取り下げてくれる可能性があります。

逃亡や罪証隠滅のおそれがないことが認められれば、在宅事件として身体拘束を受けずに手続きが進められることになります。普段と同じように学校や職場に通って日常生活を送ることができます。

そのうえで、検察官が嫌疑不十分や起訴猶予と判断した場合には、不起訴処分とされ刑事裁判にはかけられないため前科が残ることもありません

このように、身体拘束を回避し、不起訴の獲得を目指す場合には、迅速に弁護士に相談して対応を依頼する必要があります。

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5、まとめ

近年は防犯カメラの普及によって、刑事事件の犯人が特定されるケースがかなり増えました。

犯罪を行い防犯カメラに映っているのではないかと不安な場合には、早めに弁護士にご相談ください。ベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスには、刑事事件の解決実績がある弁護士が在籍しております。まずはお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています