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逮捕の可能性はある? 落書きで問われる罪と罰則を弁護士が解説

2020年11月10日
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逮捕の可能性はある? 落書きで問われる罪と罰則を弁護士が解説

愛知県では、犯罪数の減少を目指して、平成16年に「愛知県安全なまちづくり条例」を制定され、ボランティアなどが落書きなど犯罪をしやすい環境を防止する活動を行っています。

壁や道路など、人の所有物にスプレー缶などを用いて落書きをする行為は、れっきとした犯罪です。落書きという言葉に、とても軽いニュアンスを感じるのか、罪の意識が薄いままに行ってしまう方がいるようです。

もしご自身やご家族が落書きをしてしまったのであれば、今後、逮捕され、罰を受けるおそれが生じているのかどうか、気になるところでしょう。具体的に、どのような罪となる可能性があるのか、どう対処すればよいのかを知っておきましょう。本コラムでは、落書きによって問われる罪や罰則、対処法について解説します。

1、落書きをして問われる罪

落書きは、自らの所有物や、許可されたイベント会場内で落書きするのであれば当然問題ありません。しかし、他人の所有物などに落書きするという行為は、物の価値を下げ、落書きを消すために多くの時間や費用をかけさせる迷惑行為に該当します。他人の所有物に落書きをするとどのような罪に問われるのでしょうか。以下、考えられる罪と罰則を挙げます。

  1. (1)建造物等損壊、器物損壊等罪

    落書き行為は、建造物等損壊罪や器物損壊等罪に該当する可能性があります。(刑法第260条、261条)

    「損壊」と聞くと直接的に物を壊す行為をイメージするかもしれません。しかし、落書きは物の効用を害し、美観を損ね、物の価値を下げる行為です。したがって、損壊に該当するとみなされる可能性があるのです。

    建造物等損壊罪として有罪になれば5年以下の懲役が、器物損壊等罪として有罪になれば3年以下の懲役または30万円以下の罰金、もしくは科料に処されます。

    建造物等損壊罪と器物損壊等罪の違いは、一般的に落書きした場所です。壁などの建造物の一部であれば建造物等損壊罪となり、建造物とはならない場所や他人の物への落書きは器物損壊等罪となり得ます。

    では、ドアやシャッターはどちらになるのだろうと思うかもしれません。結論から言えば、外壁に密着しており簡単に取り外せないものや、取り外したら建造物として意味がなさなくなる可能性があるものについては建物の一部とみなされるでしょう。つまり、閉店後のシャッターやドアに落書きをする行為は、より厳しい罰を科される建造物等損壊罪として罪に問われる可能性があります。

  2. (2)軽犯罪法違反、迷惑防止条例違反

    軽犯罪法では、他人の家屋や工作物、標示物を汚すなどの行為が禁止されています。(軽犯罪法第1条33号)

    軽犯罪法に違反して有罪になれば、拘留または科料が科されるおそれがあります。拘留となると1日以上30日未満の間、刑事施設で拘束され、科料となると1000円以上1万円未満の金銭を徴収されます。

  3. (3)文化財保護法違反、自然公園法違反

    落書きをした場所が有形・無形文化財や天然記念物などであった場合には、文化財保護法が適用されます。特別保護地区とされるエリア内にある看板や道標などへ、宣伝など意味のある言葉などを落書きしたり、樹木を直接傷つけたりすることは、自然公園法違反(第20条第3項、第21条第3項違反)として取り締まりを受ける可能性があるでしょう。友人との旅行で観光名所を訪れ、その場の軽い気持ちで文化財や道標などに落書きしてしまうケースが典型的です。

    文化財保護法違反で逮捕され、有罪になったときは、5年以下の懲役、もしくは禁錮または30万円以下の罰金に問われます(第195条、196条)。また、自然公園法違反(第20条第3項、第21条第3項違反)に問われたときは、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります。

  4. (4)そのほか問われる罪

    落書き行為そのものだけでなく、落書きをするために付随して別の罪を犯していることがあります。

    たとえば落書きをする際に他人の邸宅や他人が管理する建物内へ侵入すれば、刑法第130条に規定された住居侵入等罪として3年以下の懲役または10万円以下の罰金刑が用意されています。

    ほかにも、落書きの内容として、人を侮辱したり、名誉を毀損したりする言葉が書かれているような場合には侮辱罪(刑法第231条)や名誉毀損(きそん)罪(刑法第230条)にあたる可能性もあります。侮辱罪の決定刑は拘留または科料ですが、名誉毀損罪として有罪になれば、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科されます。

  5. (5)民事上の賠償責任も忘れてはならない

    落書き行為が警察に発覚し、被疑者として取り調べを受けたとしても、早期に釈放された場合や、軽微な罰金刑などで刑事事件そのものは終了することがあります。しかしこの時点だけでは、あくまでも刑事手続き上で結論が出たという状態に過ぎません。

    民事上では、誰かが何らかの被害をうけてしまう事態に陥らせたときは、加害者側は損害賠償を行う義務があります。したがって、掃除や弁済など、民事上の損害賠償責任を免れるものではありませんので、落書きの被害者から損害賠償を請求されれば応じる義務があります。

    たとえば、落書きを消すための清掃や買い替えを余儀なくされた際に多額の費用がかかるケースもあるでしょう。さらには、落書きを落とすために掃除や工事が行われている間、店舗の営業を妨害されたような場合などには、損害賠償を求められることがあるでしょう。

2、落書きで逮捕された後の流れはどうなる?

落書きの容疑で被疑者と呼ばれる立場になると、刑事手続きを受けることになります。

被疑者として取り調べを受ける立場になったからと言って、必ず逮捕されるわけではありません。そもそも逮捕は、逃亡や証拠隠滅の可能性がある、身元保証人がいないなどのケースでなければ行えない措置だからです。もっとも、落書き容疑がかかった場合、仮に逮捕されなかったとしても、警察からの呼び出しに応じて取り調べを受け、起訴されたら裁判などになり罪が問われる「在宅事件扱い」になる可能性があるでしょう。

そして、複数の場所で落書きしている場合や同種の前科前歴があるような場合は、勾留、起訴と続く可能性は十分にあります。単なるうさ晴らしや面白半分で行った落書きでも、前科がつくおそれがあるということです。

万が一逮捕されてしまったときは、まずは警察官から48時間を限度に取り調べを受け、必要に応じて検察庁へ送致されます。検察官は24時間以内に裁判所へ勾留を請求し、これが認められると最長20日間、身柄拘束されます。勾留されているときは勾留満期、在宅事件扱いのときは取り調べが終わり次第、検察は起訴するか不起訴処分とするかを決定します。起訴されれば刑事裁判によって量刑が決まります。

落書きをしたことが事実ならば素直に認めて反省することが賢明です。ただし、落書きをした本人が逮捕されると、72時間はご家族であっても面会ができません。家族が逮捕されたときは、面会が認められている弁護士と早期に連絡を取り、本人と接見してもらうとともに、現状の確認と取り調べに対するアドバイスを行うよう依頼することをおすすめします。

3、落書きで逮捕されたらどうするべきか

落書き行為をしてしまい、重すぎる刑罰を科されないようにするためには、まずは被害者に対して心からの反省とおわびの意を伝える必要があるでしょう。その後は、二度と落書きなどしないと約束したうえで、被害回復を試みたうえで「示談」を行うことになるケースが一般的です。

なお、刑事事件における示談では、被害者に対する損害賠償を行うとともに、慰謝料を支払うことで許しを得ることを目指します。落書き行為における被害回復の方法としては、業者を利用して落書きを消してもらい、その費用をすべて負担するなどが考えられるでしょう。

捜査機関は被害者の処罰感情を非常に重視する傾向があるため、示談が成立していることは、量刑などで情状酌量される可能性が高まります。特に器物損壊等容疑であれば親告罪に該当します。したがって、落書きされた場所の持ち主が告訴しなければ起訴されません。示談を成立させる意味は大きいといえます。

ただし、落書き対策などのために被害者が多くの時間や費用をかけていれば、怒りの感情は大きいと予想されます。多額の示談金を求められるおそれもあるでしょう。示談交渉は簡単ではありません。落書きをした本人やご家族が直接示談をもちかけることは避け、弁護士へ一任することをおすすめします。

弁護士であれば被害者感情に配慮しながら適切な額の示談金を提示し、速やかな示談成立を目指すことができるでしょう。示談が成立することによって、民事上の損害賠償トラブルを解決させることもできます。

4、まとめ

今回は落書きと逮捕をテーマに、問われるおそれのある罪や罰則、事件を起こしてしまったあとの対応について解説しました。たとえ軽い気持ちでやったはずの落書きでも、思いもよらぬ罰を受けてしまうことがあります。ご自身やご家族が落書きをしたのであれば、今後は二度としないことは当然ながら、被害に遭った方への真剣な謝罪と示談成立が求められます。示談交渉は一般の方には難しい面がありますので、できるだけ早いタイミングで弁護士へ相談しましょう。

ベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスの弁護士も尽力します。落書きによる逮捕でお困りであれば早急にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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