逮捕理由を教えてくれない! 大切な人が逮捕されたときできること
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2023年に愛知県岡崎市内で発生した犯罪は2125件で、検挙件数は896件でした。
家族や大切な人が逮捕されたら、一刻も早くその理由を知りたいでしょう。しかし、警察は逮捕理由を教えてくれないケースもあります。もし警察から逮捕理由を聞くことができなかったら、速やかに弁護士へ相談しましょう。
本記事では、家族や大切な人の逮捕理由を教えてもらえない場合の対処法などを、ベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスの弁護士が解説します。
出典:「岡崎市統計ポータルサイト 刑法犯認知件数・検挙件数・検挙人員(年別)」(岡崎市)
1、家族や大切な人の逮捕は、誰から連絡が来る?
家族や大切な人が逮捕された事実は、どのような形で知ることになるのでしょうか。警察から連絡が来ることもありますが、実際にはニュースなどを見て初めて知るというケースも少なくありません。
なお、身内の逮捕を伝えて不安をあおる振り込め詐欺などの可能性もあります。本当に逮捕されたかどうかの真偽は、警察に自ら連絡し、当人の所在や逮捕の事実について必ず確認しましょう。また、パニックになってしまったら、弁護士や信頼できる知人に相談して、冷静な第三者と一緒に事実確認することも有効です。
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(1)警察から連絡が来ることもある|ただし連絡の義務はない
警察は、逮捕された被疑者の家族などに対して、逮捕の事実を連絡することがあります。面会や物品の差し入れ、弁護人の選任などをできるようにするためです。
特に被疑者が未成年者の場合は、警察が親に対して連絡するケースが多くなっています。
しかし警察には、被疑者の家族に対して連絡をする義務はありません。家族へ連絡するかどうかは、あくまでも警察官の裁量によって決められています。警察からの連絡を待っていても、必ず連絡が来るとは限らない点にご注意ください。 -
(2)ニュースなどで知るケースも多い
実際には警察からの連絡ではなく、ニュースなどを見て家族や大切な人の逮捕を初めて知るケースもよくあります。
また、ニュースなどを見た他の家族や知人から逮捕の事実を初めて聞くこともあるでしょう。このような場合には、被疑者が逮捕されていると思われる警察署などに連絡をとり、被疑者の状況を確認しましょう。 -
(3)振り込め詐欺などの可能性に要注意|必ず真偽の確認を
家族が逮捕された事実を伝えて不安をあおり、「助けるためには○○万円が必要」などと言ってお金をだまし取ろうとする振り込め詐欺などの犯罪が横行しています。
逮捕後すぐに大金の用意を要求してきた場合には詐欺の可能性が高いです。
警察官などを名乗る人物から家族が逮捕されたという連絡を受けても、すぐにそれを信用するのではなく、真偽を慎重に確認すべきです。
たとえば、電話の相手方の氏名と所属する警察署を聞き取り、その警察署に事実確認の電話をかければ、振り込め詐欺をすぐに見抜くことができます。対応の仕方に不安があれば、信頼できる人と共同で対応しましょう。
2、警察に逮捕理由を教えてもらえないときはどうすべき?
家族が逮捕されたことを知って警察に電話をしても、逮捕の詳しい理由までは教えてくれないケースが多いです。早急に逮捕理由を知りたい場合は、弁護士に相談しましょう。
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(1)警察が逮捕理由を教えてくれない理由
警察が被疑者の家族に対しても逮捕理由を教えてくれない理由としては、主に以下の3点が考えられます。
- 被疑者の家族であっても、警察には逮捕の理由を伝える義務がないため
- 被疑者のプライバシーを保護するため
- 罪証の隠滅など、捜査に支障が生じる行動をされることを防ぐため
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(2)逮捕理由を教えてくれないときは弁護士に相談を
警察が被疑者を逮捕した理由を教えてくれないときは、弁護士に相談しましょう。
弁護士は、弁護人または弁護人になろうとする者として、被疑者と接見(面会)することができます(刑事訴訟法第39条第1項)。その際に、弁護士は警察から被疑者の逮捕理由などの情報を教えてもらえることが殆どです
被疑者の法定代理人・保佐人・配偶者・直系の親族・兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することが可能です(刑事訴訟法第30条第2項)。
家族が逮捕されたことを知ったら、速やかに弁護士へ相談して、逮捕理由などの情報を収集しましょう。
3、逮捕された家族や大切な人とは、いつ会えるのか?
家族や大切な人が逮捕されたと聞いて、いつ会えるようになるのか不安に感じている方もいらっしゃるかと思います。逮捕された被疑者といつ会えるようになるのか、刑事手続きの流れに沿って解説します。
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(1)逮捕期間中(最長72時間)は面会できない|ただし弁護士は例外
被疑者の身柄を拘束する手続きには、「逮捕」と「勾留」の2種類があります。
このうち、逮捕の段階にある被疑者には、家族も面会できません。逮捕の期間は最長72時間とされています(刑事訴訟法第205条第2項)。
ただし、逮捕の段階であっても、弁護士には接見交通権が認められているため、被疑者と接見(面会)することができます。弁護士に依頼すれば、逮捕されている家族にメッセージを伝えたり、差し入れをしたりすることも可能です。
逮捕された家族と少しでも早くコミュニケーションをとりたいときは、弁護士に接見を依頼しましょう。 -
(2)勾留への移行後は原則として面会できる|ただし接見禁止処分に注意
逮捕期間の経過後も被疑者の身柄を拘束する必要があると検察官が判断した場合には、裁判官に対して勾留請求を行います。裁判官が勾留状を発した場合、被疑者の身柄拘束は逮捕から、より長期間の身柄拘束である「勾留」に切り替わります。
勾留への移行後は、原則として被疑者との面会が可能となります。家族はもちろん、家族以外の人も被疑者との面会ができます。面会は15分程度の時間制限が設けられ、警察官が立ち会うのが一般的です。
ただし、「接見禁止処分」が行われている場合は、勾留への移行後も被疑者と面会することができません。
接見禁止処分とは、弁護士を除く一定の人物との面会を禁止するもので、共犯者がいて罪証隠滅を防止する必要があるケースや、重大な犯罪のケースなどで行われるのが一般的です。 -
(3)起訴された後は保釈請求ができる|ただし認められない場合あり
被疑者が検察官によって起訴された場合は、「被告人」へと呼称が代わり、その後裁判所に対して保釈を請求できるようになります。
保釈請求が認められれば、保釈保証金を預けることを条件に被告人の身柄は一時的に解放され、いつでも被告人と会えるようになります。
保釈請求は認められるのが原則ですが、以下のいずれかに当たる場合には認められないことがあります(刑事訴訟法第89条)。- ① 被疑事実が以下のいずれかの刑に相当するとき
- 死刑
- 無期または短期1年以上の懲役
- 無期または短期1年以上の禁錮
- ② 被告人が前に以下のいずれかの刑に相当する罪につき、有罪の宣告を受けたことがあるとき
- 死刑
- 無期または長期10年を超える懲役
- 無期または長期10年を超える禁錮
- ③ 被疑事実が常習であり、かつ以下のいずれかの刑に相当するとき
- 長期3年以上の懲役
- 長期3年以上の禁錮
④ 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる、相当な理由があるとき
⑤ 被告人が、被害者・証人候補やその親族の身体・財産に害を加え、またはこれらの者を脅迫すると疑うに足りる、相当な理由があるとき
⑥ 被告人の氏名または住居が分からないとき
なお、保釈が認められた場合であっても、刑事裁判で被告人が禁錮以上の実刑判決を受けた場合は、保釈の効力は失われて再び身柄を拘束されることになります(刑事訴訟法第343条第1項)。
4、家族や大切な人の逮捕について、弁護士へ相談すべき理由
家族や大切な人が逮捕されたら、速やかに弁護士へ相談しましょう。
弁護士は、被疑者の身柄を早期に解放するための弁護活動を行います。具体的には、起訴前段階からの示談活動によって起訴猶予の可能性が高まるほか、身柄拘束処分に対する不服申立てを依頼することも可能です。
また弁護士は、逮捕の段階から、被疑者と時間制限なく、かつ警察官の立会なしで接見ができます。家族からのメッセージも弁護士から被疑者に伝えることができますし、弁護士を通じて差し入れをすることも可能です。
弁護士にパイプ役を依頼すれば、逮捕された被疑者の心の安定につながるでしょう。
1日も早く被疑者の身柄を解放するため、および被疑者に安心してもらうため、すぐに弁護士へ相談することをおすすめします。
5、まとめ
家族や大切な人が逮捕されたら、警察署に連絡して状況を確認しましょう。ただし、警察は逮捕理由を詳しく教えてくれないケースが多いです。速やかに逮捕理由を知りたいなら、弁護士に接見などの対応を依頼しましょう。
ベリーベスト法律事務所は、刑事事件に関するご相談を随時受け付けております。
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家族や大切な人が逮捕されてしまったら、すぐにベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスへご相談ください。
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