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他人に相続財産を残したい! その場合にできる生前準備とは

2023年08月17日
  • 遺産を残す方
  • 相続
  • 他人
他人に相続財産を残したい! その場合にできる生前準備とは

2020年度において、愛知県岡崎市に寄せられた法律相談は653件でした。

親友や介護を担当してくれたヘルパーなど、家族ではなくてもお世話になった人に遺産を与えたいと考える方もいらっしゃるかと思います。

家族ではない他人に遺産を与えるには、遺言書を作成するのがもっともシンプルな方法です。他人に遺産を与える内容の遺言書を作成する際には、手続きや事前の調整について注意すべきポイントがあるため、弁護士への相談がおすすめです。

今回はご自身の死後、遺産を家族ではない他人に与える方法や、その際の注意点などについてベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスの弁護士が解説します。

1、他人に遺産を与えたい場合にやるべきこと

家族ではない他人に対して遺産を与えたい場合は、まず遺産の全体像を把握した上で、遺産を与える人を書き記した遺言書を作成しましょう。

  1. (1)相続財産を把握する

    他人に対して遺産を与える場合、家族とのバランスを考慮する必要があります。遺産の大部分を他人に与えてしまうと、家族から不満が噴出してトラブルに発展する可能性が高いからです。

    そのため、まずは遺産の全体像を把握する必要があります。ご自身がどのような財産を所有しているのか、各財産の価値はどの程度かなどをリストアップしましょう。

    その上で、家族からも不満が出にくいような形で、他人に遺産を与える方法を検討すべきです。

  2. (2)遺言書を作成する

    遺産の全体像が把握できたら、遺言書を作成しましょう

    遺言書を作成すると、ご自身の所有する財産の譲渡先を自由に決めることができます。家族であっても他人であっても、遺言書に記載すれば自由に財産を与えることが可能です。

    ただし、すべてを他人に対して譲渡するような場合、本来の相続人から、後述の遺留分侵害額請求を受けるなど、トラブルに発展する可能性があります。そのため、ご自身の財産を譲渡するにあたっては、そうしたトラブルに対する配慮も必要となります。

    ご自身の死後、お世話になった他人に遺産を与えたい場合には、遺言書の作成をご検討ください。

2、他人に遺産を与えるには「遺贈」

遺言書によって遺産を贈与することを「遺贈」といいます。他人に遺産を与えるためには、遺贈によるのが一般的です。

民法上の遺贈に関するルールを確認しておきましょう。

  1. (1)「遺贈」とは

    「遺贈」とは、遺言によって自己の財産を他人に与えることを指します(民法第964条)

    遺言は、民法所定の方式に従った遺言書によって行う必要があります(民法第960条)。後述するとおり、遺言の方式は普通方式遺言と特別方式遺言の2種類あります。大半の遺言は、普通方式遺言にて行われています。特別方式遺言とは、死亡危急時など、特殊な状況下において行われるものです。

    普通方式遺言による遺言は、主に自筆証書・公正証書・秘密証書の3種類です(民法967条)。

    遺贈を行うことができるのは、15歳以上の者に限られます(民法第961条)。また、意思能力(民法第3条の2)がない人は遺贈をすることができません(民法第963条)。

    遺贈の対象とする財産と相手方(受遺者)は、遺言者が自由に決められます。したがって、家族ではない他人に対しても、遺贈によって遺産を与えることが可能です。

  2. (2)特定遺贈と包括遺贈

    遺贈には、「特定遺贈」と「包括遺贈」の2種類があります。

    • 特定遺贈
    • 遺産を特定して行う遺贈です。特定遺贈の対象となった遺産は、遺産分割の対象から除外されます。
      (例)「Aに対してX不動産を遺贈する。」

    • 包括遺贈
    • 遺産を特定せず、遺産の割合を指定して行う遺贈です。
      包括遺贈を受けた者(包括受遺者)は、相続人と同一の権利義務を有します(民法第990条)。この場合、すべての相続人と包括受遺者の間で遺産分割を行うことになります。
      (例)「Aに対して相続財産の3分の1を遺贈する。」


    家族ではない他人に対して遺産を与える場合は、特定遺贈を行うのがよいでしょう

    特定遺贈であれば、他人に対して与える遺産を遺言者本人が決められます。また、他人が遺産分割協議に参加することもないため、家族との間でトラブルが発生するリスクを抑えることが可能です。

3、遺言書を作成する手続きの流れ

民法で認められている普通方式遺言の方式には、主に以下の3種類があります。

  • 自筆証書遺言
  • 遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する遺言書です。

  • 公正証書遺言
  • 公証役場において、公証人が作成する公正証書による遺言書です。

  • 秘密証書遺言
  • 遺言者が署名・押印した証書を封じ、その封書に遺言者、1名の公証人及び2名以上の証人が署名・押印して作成する遺言書です。


各方式の遺言書につき、作成手続きの大まかな流れを紹介します。

  1. (1)自筆証書遺言の作成手続き

    自筆証書遺言は、以下の流れで作成します。

    ① 遺言書の内容を検討する
    どの遺産を誰に与えるかを中心に、遺言書の内容を検討します。遺産分割トラブルを回避するためには、把握している財産につき、漏れなく分け方を記載することが推奨されます。

    ② 遺言書の全文・日付・氏名を自書する
    自筆証書遺言は、遺言者がその全文・日付・氏名を自書して作成しなければなりません(民法第968条第1項)。先にPCで下書きを作成し、それを印刷したものを横に置きながら清書するのが便利でしょう。

    なお、相続財産目録については例外的に、自書以外の方法(PCなど)で作成することも認められています(同条第2項)。

    ③ 遺言書に押印する
    自筆証書遺言には、遺言者による押印も必要です(実印・認め印のいずれも可)。押印のない遺言書は無効となってしまうので、氏名の付近などに確実に押印しましょう。

    ④ 遺言書を保管する
    自筆証書遺言が完成したら、それを自宅などで保管します。改ざん・紛失のリスクに注意しながら、保管方法を慎重に検討しましょう。

    なお、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、改ざん・紛失のリスクがなくなり、かつ形式面のチェックもしてもらえるので安心です。
    参考:「自筆証書遺言書保管制度」(法務省)
  2. (2)公正証書遺言の作成手続き

    公正証書遺言は、以下の流れで作成します。

    ① 遺言書の内容を検討する
    自筆証書遺言と同様に、まず遺言書の内容を検討します。

    ② 公証役場に案文確認を依頼する
    遺言書の案文が固まったら、公証役場に連絡を取って、公証人に案文を確認してもらいます。公証人は、案文の形式・内容が法的に認められるものであるかを確認し、必要に応じて修正を提案します。

    ③ 公正証書遺言作成の日程・場所を調整する
    遺言書の内容が確定した段階で、公正証書遺言を作成する日程・場所を調整します。
    日程については、公証人・証人2名・遺言者の都合を踏まえて、いずれも支障がない日に設定されます。

    公正証書遺言の作成場所は、原則として公証役場となりますが、追加手数料を支払えば自宅などでの出張作成も可能です。

    ④ 公正証書遺言を作成する
    作成当日は、証人2名の立ち会いの下で、公証人が持参した原本の内容を、遺言者に対して読み聞かせます。
    遺言者は、公証人が読み聞かせた内容に間違いがないことを確認した後、原本に署名・押印を行います。
    続いて証人2名が署名・押印を行い、最後に公証人が民法所定の方式に従って作成した旨を付記して署名・押印を行えば、公正証書遺言は完成です。

    ⑤ 原本は公証役場で保管される
    公正証書遺言の原本は、公証役場で保管されます。遺言者に対しては、公正証書遺言の正本と謄本が交付されます。
  3. (3)秘密証書遺言の作成手続き

    秘密証書遺言は、以下の流れで作成します。

    ① 遺言書の内容を検討する
    自筆証書遺言・公正証書遺言と同様に、まず遺言書の内容を検討します。

    ② 遺言書の証書を作成する
    遺言書の内容が固まったら、その内容を正確に記載した証書を作成します。
    自筆証書遺言とは異なり、自書でなくても構いません。ただし、証書には遺言者の署名・押印が必要であり、署名部分は自書であることを要します。

    ③ 遺言書の証書を封印する
    証書に押印した印鑑を用いて、証書を封印します。

    ④ 公証役場に連絡を取り、作成の日程・場所を調整する
    秘密証書遺言の作成には、公証人と証人2名の関与が必要です。そのため、公証役場に連絡を取って、遺言書作成の日程・場所を調整する必要があります。

    ⑤ 公証人と証人の前に封書を提出する
    遺言者が、公証人と証人2名の前に遺言書の封書を提出して、自己の遺言書である旨と、氏名・住所を申述します。

    ⑥ 遺言者・証人・公証人が署名・押印する
    公証人が、封書の提出日と遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者・証人とともに署名・押印すれば、秘密証書遺言は完成です。

    ⑦ 遺言書を保管する
    秘密証書遺言が完成したら、それを自宅などで保管します。自筆証書遺言とは異なり、法務局の保管制度は利用できません。

4、他人に遺産を与える場合、相続人と事前に話し合うべき

他人に遺産を与えると、いわゆる争族(争続)に発展する可能性があります。起こり得るトラブルと、事前にすべき対策について解説します。

  1. (1)遺留分侵害額請求について

    家族ではない他人に対して遺産を与える場合、相続権を有する法定相続人が取得できる遺産が減ることになります。あまりにも多くの遺産を他人に与えてしまうと、相続人から不満が噴出してトラブルに発展しかねません

    法律上も、相続における遺留分と呼ばれる、遺産のうち相続人のために留めておかなければならないとされている分を超えた遺贈がされる場合には、相続人から、遺留分を侵害している範囲で、金銭の支払い等を求められることがあります。この請求を「遺留分侵害請求」といいます。

  2. (2)相続人との事前の話し合いが重要

    このように、自由に遺贈できるとは言っても、その内容によっては、新たな相続トラブルの種になりかねません。そのため、遺贈を行う場合には、遺留分を侵害することにならないか事前に確認しておくとともに、仮に、遺留分を侵害してしまう遺贈を行う場合、あらかじめ相続人に対して、ご本人の意見を伝えておくことが重要です。

    相続トラブルを避けるためには、事前に相続人からも意見を聞いておくことをおすすめします。ご自身の意向が第一ではありますが、ご家族のことを考えれば、相続トラブルの予防を図るに越したことはありません。

    ご自身がお元気なうちに相続について話し合い、良い形で相続を迎えられるように準備を整えましょう。

5、まとめ

家族ではない他人に遺産を与えたい場合は、生前の段階で遺言書を作成しましょう。ただし、相続人から不満が噴出することが予想されるため、あらかじめ相続人との間で話し合うことをお勧めいたします。

ベリーベスト法律事務所は相続に関するご相談を随時受け付けております。グループ内に税理士・司法書士が在籍しておりますので、相続税申告や相続登記についてもワンストップでご対応可能です。

遺産相続に関するお悩みは、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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