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相手に財産分与を放棄させることは可能? 離婚時に検討すべき事項を解説

2024年05月02日
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相手に財産分与を放棄させることは可能? 離婚時に検討すべき事項を解説

離婚の際には、財産分与という制度により夫婦が婚姻中に築いた財産を清算することが認められています。例えば、会社員の男性と専業主婦の女性という家庭では、一般的には男性側の名義財産のほうが多いため、夫から妻に対して財産分与を行うことになります。

しかし、男性としては「自分が頑張って稼いで蓄えた財産を渡すことに納得できない」と感じることもあるでしょう。そのような場合には、相手が財産分与を放棄することで、財産を渡さずに済む可能性があります。

本コラムでは、財産分与という制度の概要や財産開示を受けた際の対処法などについて、ベリーベスト 岡崎オフィスの弁護士が解説します。

1、財産分与の拒否はできる?

まず、財産分与の請求を受けた場合に、それを拒否することができるのかどうかについて解説します。

  1. (1)財産分与を拒否できるケース

    財産分与を拒否できるケースとしては、以下のようなものが挙げられます。

    1. ① 相手が財産分与を放棄したケース
      財産分与は「財産分与請求権」という法律上の権利に基づくものであるため、権利者が権利を行使せずに放棄することが認められています。
      相手に対して財産分与請求権の放棄を強制することはできませんが、相手が任意に財産分与請求権を放棄した場合には、その後に財産分与を求められても拒否することが可能です。

      ただし、口頭での放棄も法律上は有効ですが、口頭の場合には後日に「言った」「言わない」とトラブルになる可能性があります。
      そのため、財産分与請求権を放棄したという事実は、必ず離婚協議書などの書面に残しておくことが大切です。

    2. ② 財産分与請求権が時効になったケース
      財産分与請求権は、離婚後2年以内に行使しなければ時効によって消滅します
      財産分与請求権が時効により消滅した後は、相手から権利行使があったとしてもそれを拒否することが可能です。

      一般的には、財産分与は離婚時に行われることが多いため、時効が問題になることは少ないといえます。
      しかし、何らかの理由で先に離婚をして、しばらく経過してから財産分与の請求がなされた場合には、時効が成立する可能性があります。
      そのような場合には、すぐに支払いに応じるのではなく、時効が成立しているかどうかを確認してから対応しましょう

    3. ③ 特有財産の分与を求められたケース
      財産分与の対象は、夫婦の「共有財産」に限られます。
      したがって、相手から分与を求められた財産がご自身の「特有財産」にあたる場合には、相手からの財産分与の請求を拒否することができます。
      共有財産と特有財産の区別については、第2章で詳しく説明します。
  2. (2)財産分与を拒否できないケース

    財産分与は法律上の権利であるため、上記のケースに該当するもの以外は、基本的には相手の請求に応じて財産分与をしなければなりません。

    したがって、財産分与を拒否したいという場合には、まずは上記のケースに該当するかどうかをしっかりと確認する必要があります。

2、そもそも財産分与とは

以下では、財産分与という制度の概要を解説します。

  1. (1)財産分与とは

    財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に築き上げた共有財産を離婚時に清算する制度です。
    財産分与には、以下の三つの性質があるといわれています。

    • 清算的財産分与:婚姻生活中に形成した財産の公平な分配
    • 扶養的財産分与:離婚後の生活保障
    • 慰謝料的財産分与:離婚原因を作ったことに対する損害賠償


    このうち、清算的財産分与が、とくに基本的な性質であると考えられています。
    したがって、以下では、清算的財産分与を中心に説明します。

  2. (2)財産分与の対象になる財産・ならない財産

    財産分与の対象となる財産は夫婦の「共有財産」です。
    ある財産が共有財産にあたるかどうかは、「財産の名義が夫婦共有名義であるかどうか」ではなく、「夫婦の協力によって形成されたものであるかどうか」という観点から判断されます。
    たとえば、婚姻中に購入した土地や建物については、名義が夫のものになっていたとしても、妻が家事などを分担して夫を支えていたという事情がある場合には、実質的には夫婦の共有財産にあたります。

    また、財産分与の対象とはならない財産は「特有財産」といいます。
    特有財産とは、夫婦の協力とは無関係に形成された財産であり、具体的には以下のようなものが特有財産にあたります。

    • 独身時代に貯めた預貯金
    • 親から相続した相続財産
    • 結婚前の就労期間に対応する退職金
    • 別居日以降に取得した財産
  3. (3)財産分与の割合

    財産分与を行う場合には、夫婦の共有財産をどのような割合で分与するのかを決めなければなりません。
    財産分与の割合については、夫婦の話し合いにより自由に決めることもできますが、一般的には2分の1の割合で分与がなされます

    これは「婚姻期間中の財産形成に対する貢献度は、夫婦間で等しい」という考え方に基づくものです。
    夫が会社員で妻が専業主婦という家庭にも、この割合が適用されます。

3、財産の開示を求められたとき行うべき対応

以下では、相手から財産の開示を求められた場合にとることのできる対応を解説します。

  1. (1)相手から口頭で財産の開示を求められた場合

    相手から口頭で財産の開示を求められた場合には、それに応じて開示することも、開示を拒否することも可能です。
    夫婦であっても財産開示に応じる義務はないため、開示を拒否したとしても罰則はありません。

    ただし、財産開示を拒否し続けたとしても、その後の調停や裁判で法的な開示請求がなされた場合には、最終的には財産が開示される可能性が高いといえます。
    したがって、任意に開示に応じる場合には、自分も開示に応じる代わりに相手にもすべての財産を開示するように求めることが最善の対応となります。

  2. (2)弁護士会照会による開示請求がなされた場合

    弁護士会照会とは、弁護士が所属している弁護士会を通じて、公私の団体に対して資料や証拠の開示を求める制度です。弁護士に依頼してない場合、一般の方がこの制度を利用することはできません。
    弁護士会照会は裁判外の手続きであるため、任意の交渉段階から利用することができます。そのため、相手が弁護士に依頼をしている状態で口頭での財産開示を拒否していると、弁護士会照会による財産開示が行われる可能性があるのです。

    弁護士会照会は、財産の名義人本人に対してなされるのではなく、金融機関などの公私の団体に対してなされる手続きであるため、本人が対応することはとくにありません。
    また、弁護士会照会に応じる義務が法律で規定されているわけでもないため、開示を求められた団体は、報告を拒否する正当な理由がある場合には回答を拒否することもあります。

  3. (3)裁判所に調査嘱託の申立てがあった場合

    調停や裁判で財産分与の請求があった場合には、裁判所の調査嘱託という制度を用いて財産開示を求めることができます。

    弁護士会照会とは異なり、裁判所からの調査嘱託を受けた団体には、開示に応じる法的な義務が生じます
    したがって、本人が財産開示を拒否していたとしても、開示が認められてしまうのです。

4、離婚後も財産を守るためにできること

以下では、離婚後にも大切な財産を守るための対策を紹介します。

  1. (1)相手の財産の把握

    財産分与ではお互いの名義の財産が対象となるため、相手名義の財産を正確に把握することで、相手に分与する財産の金額を抑えられる場合があります。

    たとえば、夫名義の財産が1000万円で、妻名義の財産が200万円のケースである場合には、財産分与として夫から妻に対して400万円の支払いが必要になります。
    しかし、財産調査により妻名義の財産が新たに200万円あることが判明すれば、妻に対して300万円の支払いで済むことになります。
    このように財産分与で財産を支払う立場にある方も、弁護士会照会や調査嘱託を通じて相手の財産を調査することで、自身の財産を守れる可能性があるのです

  2. (2)特有財産の主張

    財産分与の対象になるのは、あくまでも共有財産の部分に限られます。
    したがって、相手が財産分与で主張する財産のなかに特有財産が含まれている場合には、特有財産である旨を主張することによって、財産分与の対象財産から除外することができます

    たとえば、預貯金、退職金、株式、保険などに婚姻前のものが含まれている場合には、それを除外することで相手に支払う財産を少なくすることが可能です。

  3. (3)弁護士を通じた話し合い

    相手の財産を把握したり、特有財産の主張を行ったりするためには、財産分与に関する知識と経験が不可欠になります。
    そのため、法律の専門家である弁護士に依頼することも検討してください。

    弁護士には、相手との交渉の代理を依頼することができます。
    相手から不当な財産分与の請求がなされた場合にも、弁護士が適切に対応することで、相手の請求を拒否して正当な範囲内に抑えることができます。
    また、相手が早期の離婚を希望している場合には、相手が財産分与請求権の全部または一部を放棄することを条件として離婚に応じるなど、夫婦間の具体的な状況を考慮した対策を法律の専門知識や離婚交渉の経験に基づいて立案することができます。
    「すこしでも有利な条件で離婚したい」という場合には、早めに弁護士に相談することをおすすめします

5、まとめ

財産分与は法律で認められた権利であるため、相手に強制的に放棄させることはできませんが、相手が任意に権利を放棄した場合には財産分与を拒否することができます。
また、相手の財産調査や特有財産の主張を行うことにより、分与する財産の金額を低く抑えられる可能性があります。

大切な財産を守りたいという方は、早い段階から弁護士に相談して、ご自身や夫婦間の具体的な事情に基づいた対策を立てることが大切です
離婚問題や財産分与に関してお悩みのある方は、まずはベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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