義両親との同居が限界なとき、離婚や同居を解消するためにできること
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岡崎市は核家族以外の世帯数が1万2354世帯(令和2年度)であり、1915地域中38番目に多い地域です。
そんな岡崎市には、義両親との同居に限界を感じており、夫婦の離婚や同居の解消を考えている方も多くいるでしょう。しかし、義両親との同居を理由に夫婦が離婚したり同居を解消したりすることは、簡単ではありません。
本コラムでは、義両親との同居トラブルを理由に離婚できるかどうか、同居解消をするにはどうすればよいかなどについて、ベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスの弁護士が解説します。
1、義両親との同居で起こりがちなトラブル
まず、義両親との同居で起こりがちなトラブルについて、具体例を紹介します。
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(1)子どもの教育方針や育て方に口を出される
子どもの教育方針や育て方は、義両親ではなく父母である夫婦が決めるべき内容です。
しかし、義両親は、いわば子育ての先輩ともいえる立場であることから、ついつい孫の教育方針や育て方について口を出してしまうことがあるのです。
義両親と同居している場合は、子どもの世話を義両親に見てもらうこともあるでしょう。そのような関係のために、父母である夫婦の教育方針や育て方と異なっていたとしても、正面から義両親に反論できず困ってしまうこともあります。
また、口を出すだけならまだしも父母である夫婦と意見が激しく対立することもあるのです。 -
(2)悪口や嫌みを言われる、尊厳を傷付けられる
義両親から悪口や嫌みを言われてしまい、尊厳を傷付けられる方もおられます。
同居しておらず相手の実家に帰るときだけなら我慢できても、義両親と同居していて日常的に傷付けられている場合には、我慢の限界に至ることがあるでしょう。 -
(3)介護を強いられる
義両親に介護が必要となったとき、同居していれば介護を強いられてしまうのが現実です。介護には、精神的にも肉体的にも負担がかかるだけでなく、経済的な負担も発生します。
経済的に余裕がある場合は、施設に介護をゆだねることで、精神的・肉体的な負担を抑えることもできるでしょう。
しかし、経済的な余裕がない場合には、夫婦の負担が重くなることは避けられません。
また、経済的に余裕があっても、要介護者本人が在宅での介護を希望している場合には本人の意思を尊重しなければならないため、夫婦で介護をする必要が生じます。 -
(4)金銭面でトラブルになる
夫婦と義両親との間で、金銭的なトラブルが発生することもあります。
たとえば、夫の両親が経済的に困窮しており、金銭での支援を求められるといったケースです。
また、育児や子どもの学費にお金がかかるのに、配偶者が親に対して何度も経済的な支援をしてしまう、といったこともあります。
とくに、自分の両親は援助を求めることなく、むしろ夫婦に金銭的な援助をしているのに、相手の両親は金銭的な援助を求めてくるといった場合には、不公平感からトラブルに発展する可能性も高くなります。
なお、実の親子間には互いに扶養義務がありますが、親が未成年の子に対しては自分の生活と同水準の生活を保障する義務を負うのに対し、子は親に対して自分の生活を犠牲にしない範囲で扶養する義務しか持たないとされています。 -
(5)夫婦の時間が取りにくくなる
義両親と同居していると、義両親との関係で夫婦二人の時間が取りにくくなることがあります。
また、相手の両親を気にして愛情表現を十分にできなくなったり、不満など言いたいことを相手に伝えることも難しくなったりすることもあるでしょう。
両親と同居しない夫婦と比べて夫婦二人の時間が取りにくく、多大なストレスが発生する場合もあります。
2、義両親との同居トラブルで離婚はできる?
義両親と同居しているとトラブルが起こり、我慢の限界に達して「離婚したい」と考える方もおられるでしょう。
以下では、義両親との同居トラブルを理由に離婚できるかどうかについて解説します。
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(1)夫婦で離婚の合意が成立すれば理由を問わず離婚できる
夫婦で離婚の合意が成立すれば、どのような理由であっても離婚できます。
しかし、大きな不満や負担を抱える配偶者が離婚を求めても、相手が離婚に応じない場合もあるでしょう。
相手としては「自分自身は悪くないのになぜ親を理由に離婚を持ち出されなければならないのか。」といった気持ちを抱く可能性もあります。
また、離婚自体は合意できても、親権や養育費、慰謝料や財産分与などの条件が合わず、結果としてすぐには離婚できない場合があるのです。 -
(2)夫婦で離婚の合意ができなければ調停離婚、裁判離婚を検討する
夫婦で離婚に合意できない場合、離婚するためには、裁判での離婚を検討する必要があります。
裁判離婚では、夫婦の一方が離婚したくないと言っている場合にも、強制的に離婚を強いることができます。
ただし、裁判で離婚が認められるためには、法律で定められた離婚事由があることが必要です。また、原則としていきなり離婚裁判を起こすことはできず、家庭裁判所の離婚調停を経る必要があります。離婚調停の結果、合意が成立せず不成立となった場合に、裁判離婚の手続に進むことができます。
裁判で離婚が認められる離婚事由には、不貞行為(不倫)や暴力などがあります。
そして、「義両親と同居している」というだけでは、離婚事由にはなりません。
また、夫婦間に大きな問題がないのに、夫婦の一方と義両親との間で同居トラブルが生じていたとしても、それを理由に離婚が認められることは基本的にはないのです。
したがって、「義両親と同居していてトラブルが起こり、限界だ」と感じても、それだけでは、相手が離婚に合意しなければ離婚は難しいといえます。 -
(3)離婚できるケース
義両親との同居トラブルを理由に離婚することが一般的に難しいと考えられているのは前述のとおりです。
しかし、夫に義両親のことを相談したが放置され続け、夫婦関係が実際に破綻してしまった場合には、夫婦関係の破綻を理由に裁判で離婚が認められる可能性があります。
また、離婚するかどうかは夫婦が決めることですが、義両親が夫婦関係を破綻させようと積極的に嫌がらせをし、現に夫婦関係が破綻してしまった場合にも離婚が認められる可能性があります。
また、義両親との同居が理由であるかどうかにかかわらず、相手が不貞行為(不倫)をしたとき、暴力を振るったときなども離婚が認められます。
3、義両親との同居を解消するためにできること
義両親との同居でトラブルが発生しても、そのことを理由に離婚するのは困難です。
せめて義両親との同居を解消すると、精神的な負担を抑えられるかもしれません。
以下では、義両親との同居を解消するためにできることを紹介します。
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(1)夫婦で話し合いをする
まずは、義両親との問題について配偶者に相談して、話し合いをしましょう。
その際には、義両親との問題について困っていることを明確に伝えることが重要です。
あなたが困っているということを相手が理解してくれたら、嫌なことを事前に防いでくれたり、あなたのことを助けてくれる可能性があります。 -
(2)自分が出ていくか実家に帰る
義両親との問題を避けるため、義両親と同居している自宅を出て自分の実家に帰るといった方法もあります。
しかし、夫婦には同居義務(民法第752条)があるため、相手の意思に反して強制的に同居を解消することは避けるべきです。可能であれば、相手に事前に自宅を出ていくことを伝えるか、置き手紙などをすることが好ましいです。 -
(3)仕事を始めるか転職する
相手は別居してもよいと言っている場合でも、別居後に生活ができるかどうかなど、経済的な事情が障害となることもあるでしょう。
そのような場合には、仕事を始めるか転職をして同居の解消を目指すことも検討してください。
また、別居後の生活費については、配偶者に対し、婚姻費用の請求を行うことも考えられます。
4、義両親からのひどい嫌がらせには慰謝料を請求できることも
離婚や同居の解消は簡単ではありませんが、義両親からのひどい嫌がらせがある場合には、義両親に対して慰謝料を請求できることがあります。
具体的には、次のような嫌がらせをしてくる場合には、慰謝料を請求できる可能性があるのです。
- 暴力を振るわれる
- 暴言をはかれる
- 障害があることなどを理由に差別的発言をされる
- 強く人格を否定される
- 離婚しろと強要される
- 子どもをいじめられる
なお、暴力や子が虐待されるなど嫌がらせの程度がひどい場合は、夫婦が同居を解消することに正当な理由があると評価される可能性もあります。
5、まとめ
義両親との同居が限界に感じたとき、夫婦間で離婚の合意が成立すれば離婚できますが、合意が成立しない場合には離婚は基本的に困難です。
しかし、義両親との関係とは別に、相手が不貞行為(不倫)をしている場合や、暴力を振るってくる場合には、裁判で離婚が認められる可能性があります。
また、義両親が嫌がらせをしてくる場合にも、その程度によっては義両親に対して慰謝料を請求できたり、離婚が認められたりする可能性があるのです。
義両親との同居トラブルについてお悩みの方は、離婚を検討するため、弁護士に相談することをおすすめします。
まずは、ベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています