事故被害者は加害者と連絡先交換すべき? 注意点とトラブル回避法

2025年04月28日
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事故被害者は加害者と連絡先交換すべき? 注意点とトラブル回避法

愛知県警察の公表によると、令和6年中2024年に岡崎警察署管轄内で発生した交通事故は1001件で、前年より27件増加しました。追突事故などの交通事故に巻き込まれたときは、事故直後の段階で相手方と連絡先を交換しておくことが望ましいです。

本コラムでは、連絡先交換を含む交通事故直後の対応や、連絡先交換後に起こり得るトラブルへの対処法などの疑問について、交通事故問題についての知見が豊富なベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスの弁護士が回答します。後日行う損害賠償請求に備えて、連絡先交換を含めた初動対応を適切に行いましょう。


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1、交通事故直後の対応チェックリスト

交通事故が発生したときは、以下の初動対応を適切に行いましょう。

  1. (1)負傷者の救護

    交通事故があったときは、当事者である車両の運転者その他の乗務員(運転者等)は、直ちに車両等の運転を停止し、負傷者を救護しなければなりません(道路交通法第72条第1項前段)。

    具体的には、負傷者を安全な場所に移動させ、必要があれば近くの病院に運んだり、救急車を手配したりすることが求められます。

    負傷者の救護が遅れると、後遺症となってしまうリスクが高まるうえに、重症の場合は命の危険が生じる可能性があります。救護を怠ると5年以下の懲役または100万円以下の罰金(道路交通法第117条第1項)という刑事罰の対象になるので、速やかかつ適切に救護を行いましょう

  2. (2)危険防止の措置

    交通事故の当事者である車両の運転者等は、道路における危険を防止する措置を講じなければなりません(道路交通法第72条第1項前段)。たとえば、事故車両を安全な場所に移動したり、接近する他の自動車に事故の発生を知らせたりすることが求められます。

    危険防止の措置を怠ると、別の車両によって交通事故が続発するおそれがあります。危険防止の措置を怠った場合も5年以下の懲役または100万円以下の罰金(道路交通法第117条第1項)という刑事罰の対象になるので、事故現場の状況に合わせて適切な措置を講じましょう。

  3. (3)警察官への報告

    交通事故の当事者である車両の運転者は、警察官に対して事故の発生や状況を報告しなければなりません。両当事者にけががない物損事故であっても報告は必須です

    運転者が死亡し、または負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員が警察官に報告を行う必要があります(道路交通法第72条第1項後段)。

    警察官に報告すべき事項は、以下のとおりです。

    • 交通事故が発生した日時、場所
    • 死傷者の数、負傷者の負傷の程度
    • 損壊した物およびその損壊の程度
    • 事故車両等の積載物
    • 交通事故について講じた措置


    警察官への報告を怠ると、損害賠償請求に必要な交通事故証明書の交付を受けられません。また、交通事故の相手方の身元が分からなくなり、損害賠償請求ができなくなってしまう可能性があります。

    さらに、警察官への報告義務を怠った場合は、3月以下の懲役または5万円以下の罰金(道路交通法第119条第1項第17号)という刑事罰の対象になり得るため、交通事故に遭ったら、速やかに警察官へ報告しましょう。

  4. (4)相手方の情報の確認|氏名・住所・連絡先・保険会社など

    交通事故の損害賠償請求をスムーズに行うためには、事故の相手方の情報を確認しておくことが望ましいです。具体的には、相手方の氏名・住所・連絡先だけでなく、加入している任意保険の保険会社などを確認しておきましょう

    ただし、相手方が身分を明かそうとしないケースや、連絡先交換を拒否するケースなどもあります。このような場合でも、きちんと警察官に報告していれば、あとから相手方の情報を調べることができるのでご安心ください。

  5. (5)自分が加入している保険会社への連絡

    交通事故に遭った場合は、自分が加入している任意保険の保険会社にも連絡しましょう。交通事故の状況によっては、保険会社において示談交渉や保険金の支払いなどの対応が生じるケースがあるためです。

    特に自分の側に過失がある場合は、保険会社とのコミュニケーションが重要になるため、速やかに保険会社へ連絡しましょう

  6. (6)医療機関の受診

    交通事故に遭ったら、けがの自覚症状の有無にかかわらず、速やかに医療機関を受診しましょう。自覚症状がない場合でも、目には見えない場所が負傷している可能性があります。

    けがの治療が遅れると、後遺障害が生じるリスクが高まるうえに、損害賠償請求にも支障が出るおそれがあります。忙しいかもしれませんが、交通事故に遭ったら必ず速やかに医療機関で受診してください。

2、交通事故の相手方との連絡先交換は必須?

交通事故の損害賠償請求をスムーズに行うためには、相手方と連絡先を交換することが望ましいです。しかし、交通事故直後の動揺や、損害賠償を避けたいという思いなどから、相手方が連絡先交換を拒否するケースもあります。

相手方の氏名・住所などの情報は、自動車安全運転センターが発行する「交通事故証明書」で確認可能です。事故の報告を受けた警察官が身元確認を行い、その情報が交通事故証明書に反映されます。

万が一、事故直後の段階で相手方と連絡先交換ができなくても、適切に警察などへの報告を行っていれば、交通事故証明書の発行を受けることにより、損害賠償請求に必要な情報は得られます。ご安心ください。

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3、事故相手との連絡先交換後に起こり得るトラブルと対処法

交通事故の相手方と連絡先を交換しても、教えてもらった連絡先の情報が架空のものであったり、示談交渉がまとまらなかったりするなど、何らかのトラブルが生じるケースがあります。

このようなトラブルに見舞われた場合は、弁護士のサポートを受けながら解決を図りましょう。

  1. (1)連絡先の情報が架空のものだった

    交通事故の相手方は、損害賠償などの責任を免れたいなどの思いから、偽の氏名・住所・連絡先を教えてくる可能性がないとはいえません。

    相手方の連絡先などの情報が架空のものだったとしても、自動車安全運転センターに申請して交通事故証明書の発行を受ければ、相手方の本当の氏名、住所、車両ナンバーなどを知ることができます。

    本当の連絡先などを把握したとしても、架空の連絡先を教えるような方と直接交渉することはおそらく難しいでしょう。弁護士を通じて内容証明郵便を送付するなどして、交通事故の損害賠償請求を行うことをおすすめします。

  2. (2)示談交渉がまとまらない

    交通事故の損害賠償請求は、相手方本人または保険会社との示談交渉を通じて行います。

    しかし、示談交渉がスムーズにまとまるとは限りません。相手方や保険会社の提示額が低すぎる場合や、不適切な過失割合を主張された場合などには、示談交渉が難航してしまう可能性が高いです。

    示談交渉がまとまらないときは、以下の手続きなどを通じることにより、解決を目指すことができます。

    ① 交通事故ADR
    弁護士などの有識者が、和解のあっせんや審査などを通じて交通事故紛争の解決を図ります。交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターなどが交通事故ADRを取り扱っています。
    参考:公益財団法人交通事故紛争処理センターHP
    参考:公益財団法人日弁連交通事故相談センターHP

    ② 訴訟
    裁判所の公開法廷で行われる紛争解決手続きです。交通事故の被害者が加害者側の過失や損害の内容などを立証できれば、裁判所が適切な損害賠償の支払いを命ずる判決を言い渡します。
    また、訴訟の途中で和解が成立するケースもあります。


    交通事故ADRや訴訟を通じて適正な金額の損害賠償を受けるためには、弁護士のサポートを受けることを検討しましょう。

4、交通事故の損害賠償請求を弁護士に依頼すべき理由

交通事故の損害賠償請求は、弁護士に依頼することにより、適正な金額を受け取れる可能性が高まります。

弁護士に依頼することには、主に以下のメリットがあります。

  • 損害賠償請求に役立つ証拠の収集をサポートしてもらえる
  • 後遺障害が残ってしまった場合は、後遺障害等級認定の申請をサポートしてもらえる
  • 自賠責保険から支払われる最低限の補償額に限りなく近い保険会社独自の算定基準ではなく、もっとも実態に近い裁判所基準(弁護士基準)を根拠にした損害賠償を請求できる
  • 加害者側との示談交渉、交通事故ADR、訴訟などの手続きを一任でき、労力やストレスが軽減される
など


交通事故事件の対応経験が豊富な弁護士のサポートを受ければ、適正な金額の損害賠償を受けられる可能性が高めることができます。交通事故の被害に遭ってしまい、十分な補償を受けるためにも、できるだけ早いタイミングで弁護士へご相談ください

5、まとめ

交通事故の損害賠償請求をスムーズに行うためには、事故直後の段階で相手方の連絡先などを聞いておくことが望ましいです。

ただし、相手方が連絡先交換を拒否するケースもあります。その場合は、まずはしっかり警察に届け出を行ったのち、自動車安全運転センターに申請して交通事故証明書を発行してもらいましょう。交通事故証明書には、相手方の住所や氏名などの情報が記載されています。

交通事故による被害について、適正額の損害賠償を受けるためには、弁護士のサポートを受けたほうが見落としなく請求することが可能となります。また、弁護士への依頼によって労力や心身が受けるストレスを大幅に軽減でき、治療に専念いただけるでしょう。

ベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスでは、交通事故の損害賠償請求に関するご相談を受け付けております。ご依頼いただければ、客観的な損害額を算定できる裁判所基準に基づき、お客さまが受け取れるべき損害賠償額を受けられるようにサポートすることが可能です。

交通事故の被害に遭い、相手方から十分な額の損害賠償を受けたいと考えている方は、お早めにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています