交通事故の過失割合はいつ誰がどう決める? 異議があるときの対応法
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愛知県警察が公表している交通事故発生状況に関する統計によると、令和6年に岡崎警察署管内で発生した人身事故件数は1001件で、死者数が8人、負傷者数が1150件でした。ここ数年交通事故が減少傾向にありましたが、令和5年以降増加に転じています。
交通事故が発生し、被害者にも落ち度がある場合、双方の過失割合に応じて過失相殺が行われます。過失割合によっては賠償額が大幅に減額されることもあるため、いつ・誰が・どのように決めるのかが気になる方も多いと思います。適正な過失割合を認定するためにも、過失割合の決め方や異議があるときの対処法をしっかりと押さえておきましょう。
本コラムでは、交通事故の過失割合はいつ決まるのか、異議があるときの対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスの弁護士が解説します。


1、交通事故の過失割合はいつ決まる?
交通事故の過失割合は、いつ決まるのでしょうか。以下では、交通事故の過失割合が決まるタイミングについて説明します。
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(1)車の修理費が確定したタイミング|物損事故
物損事故の場合、車の修理費が確定すると保険会社との示談交渉が始まりますので、そのタイミングで過失割合の提示があることが多いです。
物損と人身損害のどちらも生じているケースでは、物損事故の示談交渉のタイミングで過失割合が決められます。物損事故の示談交渉で定めた過失割合は、その後の人身損害の示談交渉での過失割合に影響を及ぼすことがあります。それぞれの示談交渉を行うときには、事故状況や損害の内容などをしっかり踏まえ、慎重に検討して取り決めることが大切です。 -
(2)怪我が完治または後遺障害等級認定の結果が出たタイミング|人身事故
人身事故の場合、怪我が完治または後遺障害等級認定の結果が出た段階で保険会社との示談交渉が始まりますので、そのタイミングで過失割合の提示があることが多いです。
人身事故の示談交渉のタイミングは、物損事故の場合に比べてかなり後になりますので、過失割合に関する証拠が散逸しないよう、初期段階でしっかりと証拠を集めておくことが大切です。 -
(3)訴訟で判決が確定したタイミング|物損事故・人身事故
上記のとおり過失割合は、保険会社との示談交渉のタイミングで決まりますが、交渉が決裂した場合は、裁判所に訴訟を提起することが一般的です。
裁判になった場合、過失割合も含めて審理されますので、最終的に和解または判決が確定したタイミングで過失割合が決められます。
2、過失割合は誰がどのように決めるのか
過失割合は誰がどのように決めるのでしょうか。
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(1)当事者同士の話し合いで決める
過失割合は、基本的には被害者と加害者との話し合いにより決められます。事故状況や過去の判例を踏まえて、基本の過失割合を確認し、具体的な事案ごとの修正要素を加味して、最終的な過失割合が決められます。
もっとも、双方が任意保険に加入している場合には、保険会社の担当者同士の話し合いで決められることが多く、弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人として交渉を行い、過失割合を決めます。
なお、警察が過失割合を決めると思っている方もいますが、民事上の問題である過失割合に警察官が関与することはありません。 -
(2)交渉が決裂したときは裁判所が決定する
当事者同士の交渉が決裂したときは、裁判所が交通事故の過失割合を決定します。
裁判所は、被害者および加害者双方からの主張立証や証拠を踏まえて、当該事案における適正な過失割合を認定してくれます。
3、保険会社が提示した過失割合に納得できないときの対処法
保険会社が提示した過失割合に納得できないときは、以下のような対処法を検討してみましょう。
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(1)被害者側の主張を裏付ける証拠を集める
保険会社が提示した過失割合に納得できないときは、提示された過失割合が妥当ではないことを証明する証拠を集めるようにしましょう。
交通事故の過失割合は、具体的な事故状況や事故態様などを踏まえて類型化されていますので、お互いが認識している事故状況や事故態様が異なると、過失割合に齟齬が生じることになります。
そのため、あなたが考える事故状況や事故態様が正しいということを立証するためにも、まずは以下のような証拠を集めるようにしてください。- ドライブレコーダーの映像
- 防犯カメラの映像
- 目撃者の証言
- 実況見分調書
個人の方では収集が難しい証拠もあるので、過失割合に納得できないときは交通事故についての知見が豊富な弁護士に相談すべきです。
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(2)証拠を提示して保険会社と交渉をする
過失割合に関する証拠を収集できたら、次は、保険会社に集めた証拠を提示して、過失割合を修正するよう求めていきます。
証拠がない状態で「過失割合がおかしい」と主張しても過失割合を変更してもらうことはできません。きちんと証拠を提示して主張をすれば、説得力も増しますので、保険会社も過失割合を再考してくれる可能性が高くなるでしょう。
交渉の結果、納得のいく過失割合に修正してもらうことができれば、保険会社と示談書の取り交わしを行います。 -
(3)交渉がまとまらないときは訴訟を検討する
保険会社との交渉では、納得いく過失割合に修正してもらうことができなかったときは、裁判所に訴訟を提起する必要があります。
裁判では、当事者の交渉ではなく、裁判所が適正な過失割合を認定してくれますので、納得いく過失割合に修正される可能性があります。ただし、有利な過失割合を認定してもらうには、あなたが主張する事故状況・事故態様を証拠により立証していかなければなりません。
十分な証拠がなければ裁判をしても希望する過失割合に修正してもらうことは困難ですので、事前にしっかりと証拠を集めることが大切です。また、訴訟になると被害者個人で対応すること自体はできますが、相手の保険会社は確実に弁護士を立ててくることでしょう。法的知識などのベースを整え適切に戦うためにも、交通事故の問題に詳しい弁護士に依頼して、訴訟の対応を任せることをおすすめします。
4、相談を受けた弁護士ができること
交通事故の相談を受けた弁護士は、以下のようなことができます。
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(1)過失割合に関する証拠のアドバイスやサポート
有利な過失割合を認定するには、自分が主張する事故状況や事故態様を裏付ける証拠が必要になります。過失割合の認定に関する証拠にはさまざまなものがありますので、具体的な事案ごとに最適な証拠を収集するには専門家である弁護士の協力が欠かせません。
弁護士に相談をすれば、過失割合の証拠収集のアドバイスをしてもらえますので、弁護士のアドバイスに従って証拠を集めれば、有利な過失割合を認定できる可能性が高くなります。また、自分で証拠を集めるのが難しいという場合には、弁護士に依頼すれば、弁護士が代わりに証拠収集を行ってくれます。
保険会社との示談交渉だけではなく裁判になった場合も証拠が重要になりますので、事故後早い段階で証拠を確保しておくようにしましょう。 -
(2)適正な過失割合の認定するための交渉
保険会社から提示のあった過失割合に納得できないときは、証拠を提示しながら保険会社との交渉を行い、過失割合の修正を求めていくことになります。しかし、交通事故の知識や経験の乏しい一般の方では、経験豊富な保険会社の担当者を相手に、自分の要求を認めさせるのは困難だといえます。
弁護士に依頼すれば、弁護士があなたの代理人として保険会社の担当者と交渉をすることができますので、適正な過失割合を認定できる可能性が高くなります。
なお、ベリーベスト法律事務所では、交通事故に関する豊富な経験と解決実績があり、過失割合の交渉も得意としています。実際の事案でも過失割合を40%減らすことができた以下のような事案があります。
【解決事例】
相手方保険会社は当初、50対50の過失割合を主張してきました。
しかし、実況見分調書を含む刑事記録や加害者車両の損傷状況からは、依頼者であるAさんが明らかに先に交差点に入っており、加害者が徐行をしていなかったことがわかりました。そこで、当方からこのような事実を主張し、過失割合の修正を求めたところ、最終的に90対10の過失割合となり、大幅に過失割合を減らすことに成功しました。
この事例について詳しくはこちらをご覧ください。 -
(3)保険会社が提示した慰謝料の増額
交通事故の慰謝料の算定基準には、以下の3つがあります。
- 自賠責保険基準
- 任意保険基準
- 裁判所基準(弁護士基準)
どの算定基準を使うかで慰謝料の金額は大きく異なり、被害者にとってもっとも有利な基準は裁判所基準になります。
保険会社からは任意保険基準に基づいて慰謝料などの賠償金が提示されますが、裁判所基準と比べると金額に大きな差があるケースも少なくありません。適正な慰謝料に増額するには、弁護士が裁判所基準に基づいて交渉する必要がありますので、慰謝料の増額を希望される方は、示談をする前に弁護士に相談するようにしてください。
5、まとめ
交通事故の過失割合は、基本的には示談交渉のタイミングで当事者の話し合いにより決められます。保険会社が入っている事案では保険会社から過失割合が提示されることが多いですが、提示された過失割合が適正なものであるとは限りません。
適正な過失割合に修正してもらうには、専門家である弁護士のサポートが必要になりますので、過失割合に納得できない場合には、すぐにベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスまでご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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