「交通事故にあったあと頭が痛い!」そのまま放置したらダメな理由
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令和2年に愛知県で交通事故により亡くなった方は、全国第2位の145人で、人身事故件数も2万4547件と増加傾向になっています。
交通事故に遭った直後は症状がなく、病院を受診しないケースがありますが、数日後に頭痛などの症状が出てくることもあるため注意が必要です。
このコラムでは、事故後すぐに病院を受診すべき理由や、通院回数で慰謝料などの損害賠償金の額が増減する可能性、交通事故で頭痛が起こる原因などについて、ベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスの弁護士が解説します。
1、交通事故後から頭痛が! 病院へ行くべき?
交通事故の直後は何もなくとも、後から痛みやしびれに悩まされるおそれがあります。交通事故に遭ったらまずはどうすべきか、解説します。
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(1)事故後は軽傷でも病院へ
まずは交通事故にあったらすぐに病院を受診しましょう。
どのような病院に行けばよいのか分からないという場合には、最寄りの整形外科を受診するとよいでしょう。特定の部位を怪我した場合、たとえば、頭部を打ち付けた場合には脳神経外科、外傷によって出血している場合には外科を受診します。
可能であれば事故当日に、遅くとも2〜3日以内に病院へ行き、医師による診断を受けることをおすすめします。 -
(2)接骨院や整体を避けるべき理由
事故直後から病院に行かず、整骨院や整体にだけ通院することはおすすめしません。
整骨院や整体は病院のような診察・治療を受けることはできず、可能なのはマッサージなどの医療類似行為のみだからです。
事故後にレントゲン検査やCT、MRI撮影などの検査を受けるためには、整形外科などの医療機関を受診する必要があります。また、交通事故の損害賠償金を請求するためには、医師の診断書が原則必要となります。
2、交通事故被害後に頭痛が起こる原因
交通事故の被害に遭ったあとに頭痛が起こる原因にはさまざまなものがあります。
ここでは、交通事故により頭痛が起こる代表的な原因を紹介します。
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(1)外傷性頚部症候群(むち打ち症)
外傷性頚部症候群とは、いわゆる「むち打ち症」と呼ばれるものです。交通事故の際に衝撃が頚部に加わり、ひどい場合には頚椎の靭帯や関節などに損傷を受けるケースがあります。
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頭痛のほか、頚部痛、肩こり、めまい、手のしびれなど
外傷性頚部症候群は事故後すぐに症状が出るというよりも、数日たってから症状がだんだんと出てくることもあります。受傷後しばらくの間は局所に痛みが生じる可能性があります。
- 具体的症状
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(2)低髄液圧症候群による頭痛
脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)とは、交通事故により身体への衝撃によって脊髄の硬膜が破れ、脳脊髄液が漏れだし、減少することで起こります。
- 具体的症状
頭痛、頸部痛、めまい、耳鳴り、倦怠感、不眠、記憶障害などを引き起こす可能性もある
脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)は、いまだに定まった知見や治療法が少なく診断が難しい病気です。脳脊髄液減少症であるにもかかわらず適切な治療を受けられないといった事態を回避するため、専門の医療機関で診断を受けることが重要です。
- 具体的症状
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(3)頭部外傷
頭部外傷とは、交通事故により、頭部に外力が加わることで頭部が損傷を受けることです。
- 具体的症状
皮膚の損傷(皮下血種・擦過傷・挫創)や、頭蓋骨の損傷、脳の損傷など
擦り傷のような軽いものから、外傷性くも膜下出血や脳挫傷のように重篤な障害に至るものがあるため、速やかにCTやMRIなどによって適切な検査を受ける必要があります。
交通事故直後に病院を受診しないと、交通事故と怪我との間の因果関係を証明できず、事故の賠償金を適切に相手方に請求できなくなってしまうリスクがあります。 - 具体的症状
3、通院回数・期間で慰謝料の金額が変わる
交通事故で怪我を負った場合には、加害者側から慰謝料を受け取ることができます。慰謝料とは損害賠償金のひとつで、複数の種類があります。
中でも「入通院(傷害)慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の2種類は、通院日数や期間によって支払われる金額が変わるため、しっかりと把握しておくことが重要です。
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(1)入通院慰謝料とは?
「入通院慰謝料」とは、交通事故の治療で入院や通院をした際の精神的苦痛に対して支払われる損害賠償金のことをいいます。
入通院慰謝料を計算する方法は、以下の3つの基準があります。- ① 自賠責保険基準
- ② 任意保険基準
- ③ 裁判所基準
以下、3つの基準と通院日数・期間によって変わる慰謝料の金額について解説します。
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(2)入通院慰謝料|① 自賠責保険基準の慰謝料
自賠責保険基準とは、自賠責保険を利用する場合に用いられる算定基準です。基本かつ最低限の補償であるため、3つの基準の中で最も低い賠償額になります。
自賠責基準では、入通院慰謝料は1日あたり4300円と定められています。
・「初診察から治療終了までの治療期間」
・「入通院日数×2」
のどちらか、少ない日数に乗じて計算します。
たとえば、治療期間が70日、入通院日数が50日の場合「治療期間70日」と「50日×2=100日」です。少ない日数は治療期間なので、「70日×4300円=30万1000円」が自賠責基準の入通院慰謝料です。
なお、自賠責保険には最大120万円という限度額が設けられています。 -
(3)入通院慰謝料|② 任意保険基準の慰謝料
任意保険基準とは、各任意保険会社が被害者と示談交渉をする際に保険金を計算するために定めている内部基準です。任意保険基準は、一般的には自賠責保険基準より少し高いか、同等の基準であるといえます。
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(4)入通院慰謝料|③ 裁判所(弁護士)基準の慰謝料
裁判所基準とは、裁判例によって認められた金額に基づいて設定された基準で3つの基準の中で最も高額な基準になります。この算定基準を利用する場合、弁護士のサポートが必須です。
裁判所基準は、日弁連交通事故相談センター発行の「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)を基に算出します。
以下、算定表の一部を用いてシミュレーションしてみましょう。
裁判所基準の入通院慰謝料|むち打ち症等で他覚所見がない場合の表(単位:万円)入院 1か月 2か月 3か月 4か月 5か月 6か月 通院 35 66 92 116 135 152 1か月 19 52 83 106 128 145 160 2か月 36 69 97 118 138 153 166 3か月 53 83 109 128 146 159 172 4か月 67 95 119 136 152 165 176 5か月 79 105 127 142 158 169 180 6か月 89 113 133 148 162 173 182
たとえば、交通事故で軽症を負い、入院はせず、3か月通院した場合には、入院0か月・通院3か月の部分がクロスする「53万円」の通院慰謝料が請求できます。
自賠責保険基準でも、裁判所基準でも、入通院慰謝料は、入院・通院する期間が長くなるほど、慰謝料の相場が高額になることが分かります。 -
(5)後遺障害等級認定の慰謝料金額
交通事故によって受けた怪我が完治せずに後遺症が負ってしまった場合、その精神的苦痛に対して支払われる損害賠償金のことを、「後遺障害慰謝料」といいます。
この後遺障害慰謝料の算定基準も、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判所基準の3つの基準があり、裁判所基準が最も高額となります。
後遺障害は、その症状の重さに応じて等級が定められており、後遺障害慰謝料の金額は等級によって増減します。
後遺障害等級の認定を受けるためには、医師による「後遺障害診断書」が必要となります。
後遺障害診断書には、傷病名や怪我の治療を開始した日、怪我の治療が終了した日、入院・通院の期間、自覚症状、他覚症状、検査結果、そして今後の状態の変化に関する医師の見込み等などが記載されます。
したがって、適切な後遺障害慰謝料を請求するためには、医師の指示に従い、症状が固定するまで通院をする必要があるのです。
4、交通事故被害にあったら弁護士に相談を
交通事故の被害に遭い、損害賠償金(示談金)の請求で悩まれたら、まずは弁護士にご相談ください。
最も高額な損害賠償金を請求できる「裁判所基準」は、弁護士のサポートが必須の手続きです。交通事故弁護に実績がある弁護士に相談することで、適切な賠償金を受け取れる可能性が高まります。
ベリーベスト法律事務所では、交通事故専門チームに所属する弁護士が、最適な損害賠償金を獲得するために尽力します。また、医療コーディネーターと連携し、後遺障害の認定を受けるために必要な書類の準備・診断書作成についてアドバイス・サポートを行います
弁護士特約に入っている場合、原則自己負担なしで弁護士によるサポートを受けることができますので、まずは保険会社に確認することをおすすめします。
5、まとめ
交通事故の被害に遭った場合、すぐに病院を受診しましょう。
交通事故による怪我が原因で入通院したり、後遺障害が残ってしまった場合には、相手方に慰謝料を請求できる可能性があります。
交通事故の慰謝料請求、後遺障害等級認定でお困りの場合には、交通事故トラブルの実績がある弁護士に相談することをおすすめします。ベリーベスト法律事務所 岡崎オフィスには、交通事故事件の解決実績が豊富な弁護士が在籍しております。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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